「ブルーベリーを食べると目がよくなる」
「ブルーベリーは目にいい」
あなたもどこかで、こんな情報を聞いたこと、目にしたことはあるのではないでしょうか?
でも、本当に、ブルーベリーを食べると目がよくなるのでしょうか?
今回は、多くの人に信じられている「ブルーベリーを食べる目がよくなる」という常識を疑ってみたいと思います。
ブルーベリーの効果は証明されていない
結論から言いますと「ブルーベリーを食べる目がよくなる」というのは、科学的に証明された事実ではありません。
サプリメントの研究で信頼性が高いデータは、アメリカの国立衛生研究所NIH(National Institutes of Health)が出すデータですが、そのエビデンス(証拠)は完璧なものではありません。
確かに、ブルーベリーの成分であるビルベリーには抗酸化作業があるのは認められています。そして、抗酸化作用が目を守ることは世間では強く信じられていますが、残念ながら、抗酸化作業が目を守ることに関する科学的根拠はありません。
つまり、「ブルーベリーは眼の健康によいかもしれない」という程度の希望的な観測が広まっただけで、その効果はしっかりと証明されているわけではないのです。
むしろ、アメリカの国立衛生研究所NIH(National Institutes of Health)の研究で、「加齢黄斑変性症に予防的効果があるのでは」と言われているのが、網膜に存在するカロテノイドの一種である「ルテインとゼアキサンチン」です。(情報源:目に効くサプリメントの選び方とは?)
このことは、日本を代表する眼科医として有名な深作秀春先生も著書「やってはいけない目の治療 スーパードクターが教える“ほんとうは怖い”目のはなし」の中で、このように書いています。
ただし、NIHの研究による、加齢黄斑変性への予防的効果としてのサプリメントは可能性があると私は思っています。網膜にあるカロテノイドの一種であるルテインとゼアキサンチンには重要な予防効果があります。この二つの物質は生体内で合成されないので、野菜や果物から食物として摂取します。
つまり、「眼にいい」と言われ、科学的な根拠も存在するサプリメントは、ブルーベリーではなく「ルテイン」と「ゼアキサンチン」なのです。
なぜ、「ブルベリー=眼にいい」という情報が広がったのか?
では、なぜ、「ブルーベリー=眼にいい」という情報が広がったのでしょうか?
不思議ですよね?
「ブルーベリー=眼にいい」
この情報の起源をたどると、第二次世界大戦中のイギリス空軍パイロットの話に行きつきます。
当時は今ほどテクノロジーが進化していないので、夜間の飛行は「目視にて位置を判断する飛行=有視界飛行」に頼っていました。
昼間に比べて夜は暗く、色々なものが見えにくくなっていますので、夜間の飛行には危険が伴います。
そんな状況で、ビルベリー(ヨーロッパのブルーベリー)のジャムをよく食べていたイギリス空軍のパイロットが、薄明かりの中でも物がはっきりと見えたという逸話から「ブルーベリー=眼にいい」という説が広まったとされています。
でも、この話だけを聞いても「ビルベリー(ヨーロッパのブルーベリー)のジャムをよく食べていた」=「ブルーベリーは眼にいい」と結びつけるのは無理がありますし、全く科学的ではありませんよね?
「ブルーベリー=眼にいい」説が広まったのは、第二次世界大戦時のイギリス空軍の機密漏洩防止策だった!?
実は、この説が広まった背景には、当時のイギリス空軍の機密漏洩防止策も絡んでいたという話もあります。
実は当時のデ・ハビランド社のモスキート機には、最先端技術であったレーダーが搭載されていた。実際の戦果は高機能レーダーによる部分が大きかったが、イギリスの情報部としてはその事実は隠蔽しておきたい。そこで「特殊能力を持つヒーロー」を作り出し、戦闘力の源を隠すことで戦いを有利に運ぼうという思惑があったというのです(情報源:ハーバー・ビジネス・オンライン)
この話も真実かどうかは分かりませんが、確かなことは、やはり「ブルーベリー=眼にいい」という科学的な根拠がないということです。
都市伝説は楽しむ分にはいいですが、眼の病気の予防や治療を行う上での知識・情報とするのは「百害あって一利なし」ということは、言うまでもありません。
まとめ
「ブルーベリーが眼にいい」という説には、確固たる科学的データはありません。
したがって、目を守るとされる「ルテイン」や「ゼアキンサンチン」を含む野菜や果物をたくさん食べるようにしましょう。
特に、ニンジンやブロッコリーなどの緑黄色野菜には、抗酸化作用のある栄養分がたっぷり含まれていますので、積極的に食べるようにしましょう。